top of page
SDGsバー.png
SDGsCircleTerm.png
SDGsバー.png


     - 目  次 -

 

1.SDGsの真の目的

2.新しい資本主義

​ 2.1 自由主義経済

 2.2 SDGsがもたらす社会的利益

 2.3 SDGsは単なる規制ではなく、顧客ニーズ

 2.4 買い手(企業・消費者)の購買動機の変化

 2.5 攻めに転じるSDGs経営

 2.6 SDGsによる差別化

3.SDGs Wash

4.SDGsとは何か

5.「人口論」の教訓

6.SDGs実現の方法

 6.1 SGDは、なぜ必要?

​ 6.2 SDGsが注目される背景

 6.3 SDGsには目標を達成する方策がない

 6.4 CSR: Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任) 

 6.5 CSV: Creating Shared Value(共有価値の創造)

7.SDGsへの取り組み方

    7.1 SDGsがわからないという会社は、SDGs登録を目指す

    7.2 SDGsを活用して、会社の付加価値を高めたい。

    7.3 ソーシャル・ビジネスに取り組みたい。

        ①自社の社会的信用を高める活動

        ②社会課題を解決するビジネスに取り組みたい

    7.4 ボランティア活動

SDGsゴールバンド表示.png

SDGsの取り組み方
本稿は、SDGsの取り組み方について述べていきます。重要なことは、

 ①大企業だけでなく、中堅・中小企業、個人企業も取り組める。

 ②特別なことをしなくても、従来の経営手法で取り組める。

​ ③購買動機が品質・価格から品質・価格・社会的責任へと変化している。

  ・品質・価格だけでは売りにくい時代になっている。

​という点にあります。

1.SDGsの真の目的

SDGsは「貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指したものです。

「サステナブル」であることを求められているのは、われわれ企業の事業活動、さらには資本主義というシステムです。これらの活動やシステムが「サステナブル=持続可能な行動」をとることを求められているのです。

これまでの世界、とくに東西冷戦終結後の世界では、先進国は大量の資源を消費し、途上国は自然破壊を伴う開発を行ってきました。

その結果、環境は破壊され、資源枯渇が懸念され、南北での経済格差が進み、しかも、人口の爆発的増加が確実視され、壊滅的な環境破壊や資源枯渇が現実のものとなり、ここに至ってはじめて「これを止めなければ」と気が付いたのです。

しかし、これらの問題を止めることは、経済の発展を止める、あるいは後退させることになりかねません。これは「経済を成長発展させる」という資本主義を、ここまで発展させてきたエネルギー源とも言える考え方とは相入れないものなのです。

SDGsはこうした行き詰まりに対し、本質的な解決を図るための提言です。「経済発展を維持する」一方で、その発展したいというエネルギーで「諸問題を解消する」ということです。つまり、資本主義というシステム、企業活動が「サステナブル」の真の対象なのです。

SDGsとは企業が発展することを止め、慈善活動やボランティアをすることを求めているように誤解されていますが、そうではありません。むしろ経済を発展させ、利益をもっと創出し、その事業活動によって、社会が良い方向に向くような経済の仕組みを経済界全体で作り上げようという試みなのです。

SDGsの目的は、いいかえれば「将来の世代によりよい地球を残す」ことです。これを持続可能(サステナブル)といい、次のような活動を行うことを指しています。
 

 ①民主的で平和な社会の構築

 ②貧困の軽減

​ ➄人権問題(労働慣行、ジェンダー平等)

 ③資源枯渇(エネルギー枯渇・食料枯渇)への対策

 ④環境問題(地球温暖化、気候変動、大気汚染、水質汚染、海洋汚染、森林破壊)

 
SDGsの理念は、これらの問題に取り組むに当たって、個人や企業の活動を積み上げて、世界を望ましい方向に向かわせる(世界を変革する)。そのための活動を、個人や企業が「出来る範囲」で実行していこうということにあります(誰も取り残されない)。

「SDGsとは何か」を、
 死ぬほど簡単に、
 説明してみました。
 視聴時間は3分38秒
 です。ポイントは、「SDGs → サステナブル」
​ です。

2.新しい資本主義

 

2.1 自由主義経済

「…誰でも、自分の資本を、その生産物の価値が最大になるように利用しようとする。通常、彼は公共の利益を促進しようなどと意図するわけではなく、また現に自分がどの程度その促進に役立っているかを知っているわけでもない。

意図しているのは、自分自身の安全と利得だけである。にもかかわらず、この場合、彼は見えざる手invisible hand)に導かれて、自分がまったく意図しなかった目的を促進することになるのである。

自分の利益を追求することによって、彼は社会の利益を増進せんと図る時よりも、より効果的に、社会の利益を増進することが多いのである。

…私は、公共の利益のために商売をすると気取っている輩が、多少とも役に立つことをした例を、いまだかって見たことがない」。

 

これは、アダム・スミス『諸国民の富』(1776年)の第4篇の一節です。スミスが、ここでなしたことは、政府によってなされた無数の愚行を実証的に列挙することでした。政府による善意の統制がもたらした害悪の数々を例証してみせたのです。

 

アダム・スミスによれば、政府が個人の活動に対して規制を行うから、社会の利益は阻害され小さくなる。失業が増える。投資が行われなくなる。国民は苦しむという結論になります。

 

では、国連による規制 SDGs も、個々の会社の利益を阻害し、社会的利益を十分に達成させないのでしょうか。個々の会社の利益を増大し、社会的利益を増進させるものでなければSDGsには取り組めないということになります。

 

2.2 SDGsがもたらす企業利益と社会的利益

アダム・スミスは、個人や企業の私的利益の追求が、個人の満足を最大にするとともに、企業利益を最大にして、「見えざる手」に導かれて、社会的最適を達成すると主張しました。その主張は、現代では、次のように説明されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

に政府が行った様々な制約を制約条件 r(x)=0 で表せば、

  Max  p f(x)      f は生産関数、pは生産物価格

    Subject to  c(x)=0  c は f を生産するためのコスト制約

       r(x)=0 h は政府による制約

 

と定式化されます。そうすると、ラグランジアン

 

  L=pf(x)-λg(x)-μh(x) 

 

を解いて、その最適解が  x** が得られたとします。ここでは、通常、x*>x** ですから、この会社が得る収益は低下し、社会全体の利益も低下します。

ここで、さらに国連の規制SDGsが、制約条件 S(x)=0 を掛けると、ラグランジアンは次のようになり、

        L=pf(x)-λg(x)-μh(x)-ξs(x) 

最適解は x*** となり、x*>x**>x*** となるので、企業の収益は一層低くなります。収益が低くなれば、投資も予定通りできなくなり、雇用も維持できないので、社会的な厚生も低下せざるをえなくなります。

 

 

2.3 SDGsは単なる規制ではなく、顧客ニーズ

ところが、SDGsは必ずしも制約条件というだけではありません。ダボス会議によると、SDGsに取り組むことで1,800兆円のニーズが生まれるといいます。

そのうえ、消費者は、「企業がSDGsに関連した行動を取っているか」「会社単位でエシカルであるか」ということを商品購入の基準にしています。

 

企業もまた、購買部門が取引先を選ぶ際に、女性やマイノリティの割合が経営陣の中にどのくらい含まれているかをチェックする仕組みがあります。こういう企業と取引したい会社は、ダイバーシティーを推進していなければ不利になるというわけです。

これからの企業は「SDGsに取り組みながら、目標利益を達成できる」経営構造を持たなければ取引が困難になります。こうした状況のもとでは、SDGsは単なる「規制」ではなくニーズとなります。そうすると、生産関数 f は上方シフトし、生産関数は F となります(F > f)。そうするとラグランジアンは、

    L=pF(x)-λg(x)-μh(x)-ξs(x)

 

となり、最適解 x+ が得られ、x+> x* となる可能性は十分にあります。

 

つまり、SDGsに取り組むことによって、当初の計画より、収益を大きく出来ることになり、結果として、社会全体の貢献も大きく出来るという結論をえることができます。

もちろん、それはSDGsへの取り組み方にもよりますが、SDGsに取り組むことが決して企業の損失、社会の損失をもたらすだけではないということがわかります。

2
企業均衡.png

2.4 買い手(企業・消費者)の購買動機の変化

「エシカル消費」という言葉があります。環境によいシャンプー、人道的に問題のない組織で作られた作物を購入するといった消費行動を表す言葉です。

これまで「Ethical(エシカル)=倫理・道徳的な」というと、パワハラや贈収賄をしないという社員の倫理規定の意味で使われていました。昨今では、SDGsなどに関連した行動をとっているか、会社単位で、あるいはサプライチェーンを含めて、エシカルであるか否か、を問われるようになってきています。

これはサステナブルな行動のほんの一例にすぎません。環境問題も含め、SDGsであげられている項目に対して、サステナブルな行動をとっているか否かが、今後は、消費者の購買動機になってきています。

企業について例をあげると、L社では、購買部門が取引先を選ぶ際に、女性やマイノリティの割合が経営陣の中にどのくらい含まれているかをチェックする仕組みがあります。

L社と取引がしたい企業はダイバーシティーを推進したほうが有利になるというわけです。そしてL社自身もダイバーシティーを徹底すれば、同じような購買基準を持っている企業から選んでもらえるようになるというわけです。

こうした広報活動を通じてL社に対し「エンパシー(親しみ)」を感じてもらえれば、L社製品を買ってみよう、という消費者の行動につながります。

さらに、そう評価した投資家に株を買ってもらえます。ダイバーシティーに力を入れることによって営業がやりやすくなります。そうして「サステナブルな」ループが回り始めるというわけです。

2.5 攻めのSDGs経営

CSRやSDGsについては、「守りの経営」のように誤解されています。そうではなく、

サステナブル時代に企業に求められること(ニーズ)を把握して、「攻め」に転じることが肝要です。

次図は、電通の第4回「SDGsに関する生活者調査」にあるものです。とくに今回の調査では、「廃プラスチックや廃タイヤなど、従来廃棄される素材から作った商品」について前回から12.3ポイント上昇するなど、「サステナブル素材・商品「への関心が急激に高まっています。

 

図1「SDGsに関する商品・サービス」今後の利用意向

電通.png
図より、消費者が、「サステナブル」を意識して購買行動していることが見て取れます。

これより、企業にとっては、サステナブルな購買行動のキーワード(たとえば、6「再生可能な素材をあらかじめ使用する」)を意識したビジネスの再構築が、既存顧客のロイヤリティを高め、若い世代を中心とした新たな顧客の獲得につながるということになります。

逆に、消費者が重視するキーワードに合致しない企業は今後徐々に市場から淘汰されていきます。

もし、その消費者意識(たとえば、6「再生可能な素材をあらかじめ使用する」)に合致した商品がありふれてくると自社の差別化が難しくなりますので、自社のサービス・製品について、6「回収・再利用を行う」などを行い、自社のサービス・製品の良さをいかに消費者に認知してもらうかが競争優位を確立するカギになってきます。

このようにして、「自社の製品・サービスが消費者の関心ごとのど真ん中の商品である」というメッセージを継続的に消費者に届けていくことが、他社との差別化を図り持続的な成長を可能にします。

 
2.6 SDGsによる差別化
他社との差別化を行う際に、差別化の武器になりうるのが認証制度の活用です。認証制度とは、企業が商品・サービスを顧客に提供する際に、その商品・サービス自体、または、その原料調達・製造・運搬のサプライチェーンに関して、品質の保証を行ったり倫理上の問題ないことを保証するものです。

認証を受けた企業は、商品自体または企業広告に認証ロゴを貼ることで、認証に適合したサービス・商品であることを対外的にアピールできます。

 

認証制度は、企業・業界団体・自治体・NPOなど様々な団体が認証制度を設けています。
そのうち、信頼性が高く対外的にアピールできるのは、ISOのような第三者機関による国際認証です(たとえばISO)。第三者認証は審査基準を満たしているかどうか審査を行い、合格すれば認証を取得することができます。

図2 国際認証制度

国際認証マーク.png

3.SDGs Wash

SDGsに取り組まなかったら、どんな問題が起きるのか? それは、地球温暖化、環境汚染、資源枯渇、食料枯渇のリスクが上昇するということです。われわれの子孫により良い地球を渡せなくなる可能性が高くなるということです。

ところが、Webサイト上では、SDGsに取り組まなければ、
 

  • 優秀な人材が確保できない

  • 社員のモチベーションを維持できない

  • コストアップになる

  • 新たなビジネスチャンスの創出機会を逸する

  • 自社の地蔵可能性を対外的にアピールできない

  • 競争に勝てない。取り残される…など

 

などと、コンサルタント会社のセールストークのようなことばかり書いてあります。コメント欄には、「なるほど、SDGsがよくわかりました」などという本末転倒の書き込みがあります。これでは SDGs Wash が懸念されるのも当然です。
 

VUCAの時代となり、社会の激変が続いています。この間、買い手のニーズも変化し、「製品・サービスのイメージ(品質・価格)+ 売り手のイメージ(社会的責任)」が購買の決定要因となってきました。

 

競合他社と製品・サービスの品質や価格が同等であったとき、購買を決定するものは売り手のイメージなのです。そのイメージを形成するものが SDGs 、あるいは CSR なのです。

​多くの企業が、いま、SDGsに取り組む理由は、買い手のニーズの変化(社会のニーズの変化)が最大の理由ですから、そこに働きかけなければ、効果は望めません。

 

したがって、われわれの子孫に「サステナブルな地球を残す」ために、何を考え、どのように、やっているかが重要なことです。

 

 1 でも、2 つでもよいと思います。SDGsのどのゴールに取り組むかは、個々の企業で異なりますが、それをアピールすることで、会社のイメージアップをはかることが出来ます。

 

「サステナブルな地球を残す」ためにも、「イメージアップ」のためにも、継続的に取り組めるテーマを決めていただきたいと思います。

 

 

3.SDGsとは何か

SDGsが知られるようになって、まだ数年しか経ちません。数年で専門家は育ちません。たとえ、専門家がいたとしても、それは今日の専門家であって、明日の専門家とは限りません。

SDGsに関する深い知識とか理論は誰も持ちません。みな、素人なのです。したがって、出発点としては以下の程度の知識で十分です。

 

①何と読むの?

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略。

読み方はエスディージーズ。日本語では「持続可能な開発目標」と言います。

 

②いつできたの

2015年9月、国連本部で「国連持続可能な開発サミット」が開催された際ときです。  

そのとき「われわれの世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」=

SDGs が採択されました。

 

③SDGsを簡単に言うと

SDGsは、2016年〜2030年までの15年間で「世界が達成すべきゴール(グローバル・ゴール)を表したものです。グローバル・ゴール(SDGs)は17の目標と169のターゲットで構成されています。

 

④企業にとって、どんな意味があるの?

世界や社会のためと言われてもピンとこない? では、子や孫のためといったら、おわか 

りいただけるのではないでしょうか?
 

人類が生き残るためには、いまの「1.7個分の地球」が必要なのだそうです。しかし、

それは不可能です。地球 1 個で生きていけるように、生活や経済を変革するしかありません。そのための目標を示したものがSDGsです。
 

個人や中小企業は微力ですが、無力ではありません。微々たる成果を、積み上げていけば、少しでも、よりよい地球を残すことに貢献できるでしょう。
 

もし、企業が自社のビジネスを用いて、資源枯渇、環境汚染、温暖化などの社会課題の解決に取り組むならば、より大きな成果が生まれ、自社の市場を拡大することもできるでしょう。

 

もちろん、SDGsを達成することは容易ではありません。しかし、

不可能なことを成し遂げようとする試みが繰り返されなかったら、今は可能となってい

    ることも実現できなかったであろう」。

 

と、マックス・ウェーバーは「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の中で述べています。

​ですから、個人であれ、企業であれ、自分(自社)が出来ることから始めましょう。目的は、サステナブルです。

 

5.「人口論」の教訓

18世紀にも同じような議論がありました。トーマス・ロバート・マルサスの「人口論」です。

マルサスは「人口は幾何級数的に増加する傾向をもつが,食糧の供給は算術級数的にしか増加せず、したがって、人口は食糧の供給能力に抑制されざるをえない。社会における貧困や悪徳は、この人口の自然的抑圧の過程に発生する」と唱えました。


まるで、SDGsのお手本です。
 

ところが、事実はマルサスの予言通りにはなりませんでした。その理由は、人口の増加がマルサスの予想を下回ったこと、技術進歩(化学肥料の開発)によって食料の増産ができるようになったことがあげられます。

 

技術進歩があれば、図 2 のように、生産関数がシフトアップしますので、第 0 時点の人口 P0 ら、第 1 時点 の人口 P1 、第 2 時点 人口P2 と、人口が増加しても、より多くの食料消費を賄うことが出来るようになります。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                図 2 人口と食料供給能力

おそらく、SDGsが提起した今回の危機も、SDGsがなくとも、人類は技術進歩で切り抜けられると思われます。たとえば、

 ・エネルギー:核融合炉が20~30年以内に完成(クリーンエネルギー、燃料は水)

 ・食料:野菜・魚はバイオ技術で増産可能、肉は大豆肉で増産・代替可能

などの代替策があります。

 

コメはどうする? 日本人がコメを食すようになった弥生時代から2,000年経ちますが、それ以前の縄文時代の 12,000年の間、日本人はコメを食べていません。

 

それは、世界中、どこも似たようなものですので、食文化をサステナブルに変えていけば、縄文時代のように、コメなし、ムギなしでも生きていけるはずです。


しかし、技術進歩の速度が、資源枯渇、環境汚染、温暖化の速度を必ず上回るとは、いいきれません。また、今回の危機を乗り越えても、その段階で、いまを上回る消費を続けていけば、今の問題が再燃します。

 

そこで、資源枯渇、環境汚染、温暖化の進展の速度を低下させる努力(たとえばSDGs)が必要となるのです。

6.SDGs実現の方法

(1)SGDは、なぜ必要?

最近、SGDsへの関心が高まっています。なぜ、企業の経営者がSDGsに関心を持つのでしょうか。それは、多くの経営者が本業においてこのSDGsの視点や考え方を取り入れなければ、今後、企業は成長できないと真剣に考えているからです。

これまでは、会社の「本業」で利益を上げ、その「余力」で社会貢献をしようという考えでした。このCSR的な考えには弱点があります。社会貢献する前の「本業」の段階で社会的に非難を受け、本業が立ち行かなくなることがあるということです。

たとえば、エンロンは、世界最大手のエネルギー販売会社でしたが、不正会計が発覚したために株価が暴落し、倒産してしまいました。

ナイキは、サプライチェーンの児童労働、強制労働、低賃金労働が発覚したために、世界的な不買運動を引き起こしました。その損害額は年間売上の80%に及んだといいます。

その他の多くの事例から、企業の余力で社会貢献するのではなく、本業で社会貢献しなければ、企業として長くは存続できない、これからは、社会に貢献した企業が、結果として大きな利益を出すだろうと考え始めたからです。

つまり、慈善活動やボランティア活動以前に、企業は普段行っている全ての事業に対して、社会との関わり方や貢献度が人々から常に監視されるようになり、その結果が広く社会に認知され、企業に対する評価そのものに直結するという時代を迎えているわけです。

そう考えると、日本の大企業の経営者が、企業におけるあらゆる業務において社会貢献を意識することは自然の成り行きです。

そうはいっても、何もベースがない状態でどのように社会貢献できるかを考えることは簡単ではありません。そこで注目されているのがSDGsなのです。

SDGsは、国境のない国際的な課題です。これからの日本企業と世界のつながりは、より広く、深くなっていくでしょう。それは大企業だけでなく、中小企業にも浸透していきます。

こうした状況において、国際的な課題を解決するというのは、世界共通の課題であるため、その活動に対して反対の立場を取る人は少ない上に、グローバルに注目を集めるというメリットもあります。

世界の投資家は単に利益を出すだけではなく、結果的にどれくらい社会を良くできるかを重視する傾向を強めてきました。しかも、SDGsは、世界中の経営者から注目されています。こうした理由から、日本の経営者はSDGsに非常に関心が高いわけです。

 

(2)SDGsが注目される背景

国連から、金融業界に、企業の財務情報だけを見るのではなく、環境や社会への責任を果たしているかどうか、つまり、「ESG」(Environment、Social、Governance)を重視すべきだという提言がされました。

ESGに着目し事業を行うことにより、長期的に成長できることがわかったので、ESGは、いまや世界的に注目されており、長期的に成長できる企業かどうかを示す指標となっています。

ところが ESG には目標がありません。その ESG に、SDGsが目標を与えています。このために SDGs が注目されるようになりました。ESG と SDGs の関係は 図3 のように表わせます。

 

図3 ESGとSDGsの関係

 

(3)SDGsには目標を達成する方策がない

ところが、SDGsは目標であって、どのようにしたら目標が達成できるのかを示していません。その目標を達成する手段は、CSR(企業の社会的責任) CSV(共有価値の創造)であって、その関係は次のように表すことが出来ます。

図4 SDGsの達成手段

(4)CSR: Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)

CSRの目的は、「持続可能な発展に貢献すること」で、SDGsの目的と同じです。CSRには、その目的を達成する手段・手順があります。

 

たとえば、ISO26000には、CSRの手順が詳細に定められています。こうした手順に従いCSRを実行すると、SDGs(ゴール)を実現することができます(詳しくは、本ホームページのCSRの稿を参照してください)。

 

ところが、CSRは、

 

 第1 段階で、経済責任である利益の最大化を図り、

 第2 段階で、法的責任,コンプライアンスを強化し、

 第3 段階で、企業の倫理基準に準拠する企業文化を形成し、

 第4 段階で、慈善的責任に基づき社会貢献に関わる

ものとされてきました。これを実現するには、第1 段階の経済責任が、決定的に重要となります。利益を生まなければ社会貢献の原資が確保できないからです。

しかし、社会は、第1 段階である経済責任についてもコンプライアンスを求めているのであって、第 2~4 段階で社会的責任を果たしても、第 1 段階で果たさなくともよいというわけではありません。

CSVは、第1段階において「経済的課題」と「社会的課題」を同時に達成しようとするものです。

(5)CSV: Creating Shared Value(共有価値の創造)

CSV も CSR も社会的責任に関する活動です。違いは、CSRが、利益を出したのちに、その利益の範囲内で社会貢献するという、「本業」とその「周辺事業」としての活動であったのに対し、CSV は企業の「本業」を通じて、社会課題の解決を実現するところにあります。

 

つまり、CSV は、本業(=事業)そのものでの戦略的展開を目指しており、事業価値(利益の追求)や競争力を強化する活動が、社会的価値の実現(社会課題の解決)を実現する動きになります。

従来、本業での社会負荷を補うかのような、償いや保険のような受⾝的な活動としての社会的責任ではなく、社会的責任を戦略的に位置付けることで、競争優位を確保しようとするものです。

​これを、バランスト・スコアカード的に表すと、直観的には、次のようになります。

マイケル・ポーターが、戦略的に社会問題に取り組むことで、その活動を競争優位に結びつけ、企業も社会も双⽅がメリットを享受できることを示しました。

これらは、今までの「企業の利益と公共の利益はトレード・オフ」(⼀⽅が⽴てばもう⽚⽅が成⽴しないジレンマ)として捉えていた概念を覆すものでした。

企業価値と社会価値を両立させるためにどのようなアプローチが必要でしょうか?

 

ここで注目したいポイントは、価値創造について、「短期的な財務指標」などで狭く捉えるのではなく、「⻑期的な成功を左右する様々な分野」(事業に不可⽋な天然資源の枯渇、サプライヤーの持続的関係、⽣産や販売を⾏っている地域社会の衰退など)を対象に含めて長期的に視野を広く持ち、共創的に実践すべきという点です。

 

このことにより、より広く社会と経済との共通価値を目指す姿勢から、企業の⽬的を再定義することができます。こうした視点から、マイケル・ポーターは、具体的な実践方法として、3つの共通価値へのアプローチを示しています。

 ①製品と市場を見直す。

  ・自社製品で企業価値と社会価値の両立を図ろうとするもの。その新製品で、新

   市場を開拓したり、市場を開拓することによって、企業価値を創造するだけで

   なく、社会的な課題にも対応しようとするもの。

  ・トヨタ「プリウス」は、自動車の排気ガス規制という社会課題から誕生した車  

   です。この戦略により、トヨタは「環境に優しい自動車の先駆者」と呼ばれる

   独自の位置を占めることができました。

 ②バリューチェーンの生産性を再定義する

  ・原料調達、加工、販売などの過程で社会問題に取り組むことを指します。バリ

   ューチェーンのエネルギー使用、資源の有効活、調達、流通、従業員の生産性

   の改善から、コスト削減などの利益が得られます。

  ・ユニリーバのジョイータ・プロジェクトは、洪水で田畑を失ったバングラデシ

   ュの主婦たちが、自社製品の訪問販売員として活動できるようにしました。

   生活の質が改善された住民は、ユニリーバの製品を購入して、その売上高が増

   加する結果を生み出し、ユニリーバは2008年だけで3 億ドルの追加収益を達成

   しました。

  ・これらの結果は,今まで購買力を持っていない存在として思われていた低所得

   層に雇用を提供して、これによって得られた収入で、自社製品を購入すること  

   になる過程を経て、企業にも利益が還元されるようにする好循環の構造を構築

   したのです。

 

 ③ビジネスを営む地域に産業クラスターを開発する。

  ・産業クラスターとは事業分野を取り巻く関連企業などが密集した地域のことを

   指します。アメリカのシリコンバレーがそれにあたります。

  ・ネスレは、プレミアム・コーヒー用の豆の仕入先であるアフリカや中南米の貧 

   困地域の零細農家に対して、農法に関するノウハウを提供したり、銀行融資に

   対する保証をするなど栽培農家に対して密に支援することにより、高品質のコ

   ーヒー豆を安定して仕入れることを実現するとともに、高品質の豆には価格を

   上乗せして、しかも農家に直接支払うことで、栽培農家のモチベーションを高

   め、生産性の向上と農家の所得の増加をもたらしました。

  ・自社の取組を通じて社会的な課題を解決しつつ、販路の拡大、優良かつ安定的

   な仕入先の確保、コスト削減など企業が取り組むべき経営課題の解決も同時に   

   図り、社会価値と企業価値を両立させています。

 

(6)中小企業におけるCSV

 

 ①製品と市場を見直す。

  ・宮城県柴田郡大河原町の有限会社中央タクシー(従業員18名、資本金1,850万 

   円)は、人口約23,700人の大河原町を中心に運行するタクシー会社である。

 

  ・同社は通常の車両に加え、車椅子のままでも乗車可能な車両と、移動に係る負

   担を軽減する車椅子タイプのシートを搭載した車両を導入して、高齢者や障害

   者等の歩行困難者が事前予約なしで利用できるサービスを開発した。

 

 ②バリューチェーンの生産性を再定義する

  ・T設計事務所は県内で、200万円ほどの設計案件が、首都圏では300万円で受注

   できることを知り、首都圏で営業を行い大量の受注に成功しました。

 

  ・実は200万円ほどの設計が、元請の値引き要請により、100万円程度で受注して

   いたのです。首都圏の元請からみれば200万円は「安い」のですが、県内の元

   請業者からみれば「高い」取引だったのです。

  ・この例は、バリューチェーの内側からの動きになっていることが特徴です。バ

   リューチェーンの内側からの動きならば、全国の地域の中小企業でも、活路が

   見いだせるのではないでしょうか。

 ③ビジネスを営む地域に産業クラスターを開発する。

  ・高知県高岡郡四万十町の株式会社四万十ドラマ(従業員25名、資本金1,200万

   円)は、四万十川流域の資源を活用した商品の開発・販売や、道の駅「四万十

   とおわ」の運営を行う企業です。

 

  ・同社は、四万十で培ったノウハウを他地域で活用してもらうための研修を実施

   する一方で、他地域のノウハウも積極的に吸収するという「ノウハウ・アライ

   アンス」を掲げていまいす。

 

  ・地域活性化について、「他地域の資源に目がいきがちだが、足元の財産を活用

   することを考えるべきである」と言うのです。

 

  ・「資源の見直しから商品開発、生産現場の保全、加工、販売・流通まで、でき

   る限り四万十川流域内で行い、それによって新たな雇用が創出されています。

  ・つまり、クラスターの育成を行い、地域資源を活用した商品開発により、雇用

   の創出、生産者支援等を通じた地域活性化という社会価値を生み出しながら、

   発信力ある商品の販売で全国に販路を確保することで企業利益をあげていま

   す。

(7)SDGsの実現

上述の「中小企業におけるCSV」では、マイケル・ポーターにしたがって、①製品と市場を見直す。②バリューチェーンの生産性を再定義する。③ビジネスを営む地域に産業クラスターを開発する。と考えてきました。

 

ところが、経済的課題と社会的課題が同時達成できれば、上述の①②③を意識する必要はありません。しかも、従来の経営戦略・経営管理手法(中期経営計画、商品開発管理、生産管理、ISO、人事評価制度、組織風土醸成)で、SDGsに取り組めるということになります。

 

​このようなアイデアで、実現した中小企業の事例を紹介いたします。

K社(「地域活性化」と「ゴール2」)

転作農家と直接契約し、シモン芋を栽培してもらう代わりに、シモン芋はすべて買い取り、健康食品を開発して、学校給食、老人施設に提供し、道の駅等で販売する。これにより転作農家は安定的な収入を確保でき、地域活性化に貢献した。

 T社(環境負荷の低減とゴール9)

特記仕様書にしたがい、低燃費重機、廃棄物の分別、発生土の再利用、騒音・振動対策、希少動植物の保全に取り組んでいる。またエコカー、LED照明、太陽光発電に順次取り換えることによって、省エネ、再生可能エネルギーへの転換を図っている。

 

 M社(「競争力の強化」と「ゴール3」)

低脂肪でも美味しい食品の市場導入により、肥満に悩む人の健康に対する「食の安全・安心」の解決を図る。

 

C社(コスト削減とゴール12)

ペットボトルの軽量化は、企業はコスト削減になり、省資源という「環境問題」の解決に取り組んでいる。

 

B社(新製品開発とゴール11)

浸水被害を防止するシャッターを開発することにより、売上向上とともに、「災害対策」を行っている。

 

O社(新製品開発とゴール11)

「環境印刷(ゼロカーボンプリント)」に取り組む。インクは環境負荷の少ないノンVOCインキを、用紙にはエコ用紙を使用している。

 

A社(環境負荷の低減とゴール9)

運送業A社は、より環境負荷の少ない電気自動車やディーゼル車に乗り換え、環境負荷の低減を実現。

したがって、SDGsのために特別の戦略があるというわけではなく、従来の経営戦略・経営管理を実施することが、当該課題についてSDGsを実施することになります。そして、これによって中堅・中小企業もSDGsに取り組むことが可能であるということがわかりました。

7.SDGsへの取り組み方

SDGsのとらえ方は、人により、様々です。
 

 ①SDGsがわからない。どのような取り組みをすればよいのだろう?

 ②SDGsを活用して、会社の付加価値を高めたい。

 ③社会課題を解決するビジネスに取り組みたい。

 ④ボランティア活動に参加したい。


 

以下に、これらの活動について記していきます。

 

(1)SDGsがわからないという会社は、SDGs登録を目指す

  ①「SDGsの17ゴールは、大雑把なのでどうしたらよいかわからない。だから169のター  

  ゲットを読め」など言われますが、169のターゲットを読んでもわかりません。

  たとえば、ゴール6のターゲット6.2には、

ESGとSDGsの関係.png
SDGsの達成手段.png
BSCSDGs.png
CSVの図.png
マルサス.png

  2030年までに、全ての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを 
​  達成し、野外での排泄をなくす

 とあります。「野外での排泄をなくす」。これが日本の企業の目標になるのでしょ 
​ うか? いま野外で排泄している人が世界中で40億人いるそうです。つまり、40億人
 分のトイレが不足していて、それだけのニーズがあるというのはわかりますが、日
 本の中小企業がどうやって、このニーズを満たすことが出来るというのでしょう
 か?
 また、ゴール4「質の高い教育をみんなに」のターゲット4.6には、
2030年までに、全ての若者及び大多数(男女ともに)の成人が、読み書き能力
及び基本的計算能力を身に付けられるようにする。

 とあります。単なるヨミカキ、ソロバンではありませんか? どこが「質の高い教育な 

 のでしょうか? 学校や教師が不足している、それがニーズだというのはわかります 

 が、日本の中小企業が支援できるかどうかはわかりません。

 このように、169のターゲットを読んでも、どう取り組んだらよいかわからない項目は

 多々あります。「SDGsがわからない」と言われるのは当然です。

 

②わかりやすいのは、各自治体が発表している「SDGs取り組みチェックリスト」です。 

 これは「日本版SDGs」というべきものであって、内容が日本の実情に適しています。 

 「野外での排泄」とか「ヨミカキ、ソロバン」など出て来ません。

 

③「SDGs取り組みチェックリスト」の中には、社内で既に実施しているモノが大半で

 す。意識しなくても、SDGsへの取り組みは出来ているのです。その中で、「自分ある

 いは自社に大切だな」と思うものを、今後も、実行すればよいのです。

 

④できれば、「SDGs取り組みチェックリスト」の項目を全部やって、登録を受けるとよ 

 いでしょう。登録すると「何となく、わかった」という気になれます。

※登録については、弊社でZoom講習会を開催していますので、お問い合わせください。

 2時間程度でSDGs登録のための提出書類が完成します。なお、登録料はどこの自治体

 も無料です。

 

(2) SDGsを活用して、会社の付加価値を高めたい。

 ①「日本版SDGs(SDGs取り組みチェックリスト)」には、経営を改善するヒントがた

  くさんあげられています。中小企業でも取り組めるものたくさんあります。

 ②以下はそれらのリストです。これらを活用して、付加価値の高い会社をつくるという 

  ことも、立派なSDGs活動といえます。なぜなら、それらの活動は、政府や自治体が

  推奨しているものだからです。

SDGsの経営手法.png

(3)ソーシャル・ビジネスに取り組みたい。

これには、2つの方法があります。ひとつは、CSR(企業の社会的責任)の観点から自社の社会的信用を高める活動を行うことです。もう一つは市場の失敗により、流通されていない商品を流通させる活動です。

 

①自社の社会的信用を高める活動

ISO26000(社会的責任に関する手引き)によると、組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティへの参画に関して、説明責任、透明性、倫理的な行動、ステークホルダーの尊重、法の支配の尊重、国際行動基準の尊重、人権の尊重を考慮することが望ましいとされている。

 

これらの全てを行う必要はありませんが、顧客から要求されていて、まだ実施していない事項を行なうだけでもよいのです。

 

たとえば、材料の試験成績書や品質証明書から、自社製品の説明責任を果たすような活動があります。

 

建設業では、コンクリートを打設する際には、コンクリートや鉄筋の品質証明書(配合試験成績書、ミルシート)はもちろん、場合によっては、「土」のふるい分け試験成績書を発行しています。その場で使用する建設機械についても適合であることを示す証拠書類を提出しています。

 

日本水産株式会社(ニッスイ)では、自社が取り扱う魚が「正しい魚」かどうかを検討しました。「正しい魚」でなければ、水揚げも、加工も、販売も出来ないと同社が考えたからです。

 

そのような品質証明書で材料の品質を証明するという活動を、弁当という商品で実施しようとした場合の例を示したものが、次図の「新商品SDGs弁当」です。

 

この図は、自社の弁当が、どのようにSDGsに紐づいているか。そのためにどのような改良をしたかを示したものです。材料や方法に「証明書」をつけるだけで立派なSDGs活動になります。

ひもづけ.png

②社会課題を解決するビジネスに取り組みたい

社会課題に取り組む企業を、ソーシャル・ビジネスと呼んでいます。明確な定義があるわけではありませんが、ソーシャル・ビジネスとは、次の特徴を持つビジネスを指します。


 1)社会性:社会問題を解決する
 2)事業性:一時的ではなく継続的
 3)革新性:新しい社会的商品やサービス、それを提供する仕組みを開発・活用する

 

この、ソーシャルビジネスは、昔の「ムラおこし」「第3セクター」に似ています。そのビジネス・モデルは次のように表すことが出来ます

ビジネスモデル.png

【ソーシャル・ビジネスの例】
 

 ①ネクストミーツ株式会社(食糧危機・気候変動)

  100%植物性の牛丼「NEXT牛丼」などを発売。
 

 ②エシカル・スピリッツ株式会社(フードロス問題)

  廃棄されてきた酒粕でクラフトジンやウィスキーを生産。
 

 ③株式会社アグリメディア(耕作放棄地問題)

  使われていない農地(耕作放棄地)を有効活用。
 

 ④株式会社アドレス(空き家問題)

  空き家にリノベーションを施して会員に貸す。
 

 ➄株式会社ヘラルボニー(障害者の活躍)

  障害者福祉分野のベンチャー企業。
 

 ⑥株式会社ピリカ(海洋プラスチック問題)

  ゴミ拾いSNS「ピリカ」を開発したベンチャー企業。

 

SDGsに取り組む場合の留意点について説明しています。 地産地消では、闇雲にSDGsを適用するのではなく、経済原則を考慮することを説明しました。 また海洋ゴミを清掃することは必要なことですが、事業や製品・サービスの開発とのバランスを考慮することが必要だということを説明しています。

(4)ボランティア活動

ボランティア.png

①SDGsとボランティアの関係

SDGsは、「2030年に向けた17の目標」です。それは、「貧困撲滅」「教育の普及」「環境保全」「経済成長」など、様々な社会問題を解決することによって、2030年までに目指す世界の姿です。
 
これに対して、ボランティアは、「個人・企業の自由意思で、社会に貢献すること」とされています。

 

SDGsとボランティアの関係は、SDGsは目標で、ボランティアはそれを達成するための「行動」ということになります。

 

SDGsは世界規模の目標です。個人レベルの行動には関係が無いように見えるかもしれません。その目標は、17の目標(と169のターゲット)で構成されています。

 

それらの目標は個別の課題として独立しているわけではなく、経済、環境、貧困、平和などひとつひとつがつながりを持っています。

 

そのつながりには、行政も、企業も、個人も含まれています。そして、その行動の中には、行政や企業のような組織だからこそできることもあります。

 

逆に、行政や企業には、慣行上できないけれども、規制を受けない個人だからこそできることもあります。その意味で、SDGs達成のためには、個人レベルの行動が重要になってくるのです。

 

ボランティアは、個人の意思によって、あるいは、個人の意思が集まって動いているものです。
 

個人の意思で行動を起こし、世界に影響を与えること(例えば、SDGsの達成の一助となること)は難しいことではありません。
 
「誰かの役に立ちたい」「社会に貢献したい」という思いがあれば、あなたの思いはきっと何かの力になります。まずは行動を起こしてみてはいかがでしょうか?

 

②ボランティア活動にはどんなものがあるのか?

活動分野はさまざまです。歴史的にみると「寄付」がボランティア活動の初期の形態でした。いまでは「子ども・子育て」「障害のある人」「高齢者」といった福祉的な分野や、「国際協力」「環境」「被災地支援」「居場所づくり」といった活動があります。

また、オリンピック・パラリンピックという大きなイベントがあり、そこにたくさんのボランティアが参加したこと。
 

さらに、昨今、毎年のように災害が発生しており、そこに全国からボランティアが集まり、その活動が脚光を浴びることが多くなっているのも、ボランティアが注目されるきっかけになっています。

 

③ボランティアをするとどんなメリットがあるのか?

ボランティア活動は、社会貢献することが目的ですが、ボランティア活動を行うことによって、社会や人とのつながりや広がりを感じることができます。

 

普段、接することのない幅広い世代と交流したり、感謝されることで人とのつながりを感じたり、普段できないような体験ができたり、普段は感じることができなかった様々な経験ができます。
 

町内会の清掃をやれば、ゴミという社会問題を解決できるだけでなく、町内の人々と親密になることができ、子供とお年寄りの接点も生まれます。

 

海岸・海浜の清掃を行えば、海洋ゴミという社会問題に取り組め、子供たちへの躾もできます。

 

探検隊に参加して、山や川の清掃したり、生き物を観察することが出来ます。お父さんは家庭サービスを無理にしなくても、家族も喜んでくれます。

 

こうした理由から、ボランティア活動に多くの人々が参加しています。そうはいっても、どのようにしたら、ボランティア活動に参加できるの?

 

それは簡単にできます。興味をお持ちになった方は、地元のボランティア団体にぜひ参加して社会貢献活動に参加してください。

SDGsゴールバンド表示.png
bottom of page