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                 - 目 次 -

1.人事評価制度とは何か
 1.1 人事評価の目的

 1.2 人事評価の全体像

2.社長の悩み

3.人事評価の導入プロセス
 3.1  ダメ人事評価は、早晩、崩壊する

 3.2  シン人事評価の導入プロセス

4.なぜ、人事評価は運用できないのか
 4.1 管理者(評価者)が評価結果を部下に通知できていない

 4.2 管理者(評価者)が評価していない

 4.3 管理者(評価者)は指導もしていない

5.シン人事評価の作り方

 5.1 人事評価制度の構築

 5.2  評価シートの種類

 5.3 評価要素の選定

  5.3.1 評価シートのフォーマット

  5.3.2 評価対象

  5.3.3 評価要素の連鎖

 5.4 評価対象と評価要素の選定について

 5.5 評価基準の作成

  5.5.1 成果指標

  5.5.2 重要業務

  5.5.3  技能・知識、執務態度

 5.6 ウェイト

  5.6.1  ウェイトとは

  5.6.2 ウェイトの設定

  5.6.3 ウェイトの働き

6.昇進昇格制度

 6.1 制度導入・改定の目的

 6.2 昇進と昇格の違い

 6.3 昇進・昇格の決定要件

 6. 4「給与・賞与」への反映

7.賃金制度

​​ 7.1 ダメ賃金制度

 7.2 職能給制度

 7.3賃金水準

 7.4 職能給型賃金制度

 7.5 成果主義賃金制度(ブロード・バンド型賃金制度)

8. 人事評価運用マニュアル

 8.1 人事評価運用マニュアルの目的

 8.2 人事評価運用マニュアルの内容

9.人事評価制度の運用開始

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1.人事評価制度とは何か

1.1 人事評価の目的
・人事評価は、社長の「思い」を会社に浸透させる仕組みです。
・制度をつくることが目的ではなく、社員を育て、成果をあげること
   が目的です。
・社長から給料を「貰う」組織から、社員が自ら「稼ぐ」活力ある、 
 自信に満ちた、明るい組織にしたい。
・人罪・人在が居づらくなり、人材・人財が定着する未来志向の会社
 をつくりたい。………これらが目的です。

1.2 人事評価の全体像
・図1.1 は人事評価の全体像です。すでに述べましたように、これら
 の仕組みを作ることが目的ではありません。
・教育することを目的として、評価制度と教育制度だけをつくってお
 られる会社もあります。
・賃金・賞与を適正化することを目的として、評価制度と賃金制度だ 
 けをつくっておられる会社も少なくありません。
・「教育訓練は難しいのではないか」とおっしゃる会社もございま 
 す。その場合には、制度が定着して、お客様の会社が教育訓練がで
 きるようになるまで、当社が伴奏支援いたしますので、ご安心くだ
​ さい。

​         図1.1 人事制度の全体像




















 
図5 人事評価制度と諸制度のインターフェイス.png
​2.社長の悩み
社長が、人事評価で、夜も眠れないほどお悩みになるとき、その胸中にあるのは「社員と家族の人生を左右する恐怖」と「会社を預かる者としての非情な責任」の板挟みでした。
私たちは、昭和40年代から、社長様の悩みの解決に取り組んできました。人事評価について、次のような悩みがありました。


□制度を変えても人は変わらなかった

□若手の離職が止まらない。次世代リーダーが育たない

□従業員が、評価を納得していない。不公平感をもっている

□人事評価を導入したら、社員がカネに汚くなった

□評価者の無責任な「寛大化傾向」や「中心化傾向」が横行している

□公平に評価しているつもりだが、残ってほしい「稼げる人材」が不

 満を持って辞めてしまう

□ベテランは逆ギレする、若手は無気力、中堅は他責にする。自分ご 

 とだと思っていない

□言い訳ばかりで、原価意識が全くない中堅

□向上心がなく「今のままでいい」と開き直る若手

□評価者のスキルや考え方が変わらず、期待した効果が出ない。

□評価を数値化したことで、かえって社員の不満が増幅された

□評価の不公平感で現場が荒れている

□コンサルタントが作った評価シートが使い物にならない

□評価シートへの不満が噴出してぃる

□目標面接が形骸化している

□目標設定が適当になっている

□フィードバックで部下が落ち込む

□目標面接で前向きな答えがない。反論ばかりする

□人事評価を始めてから、社員はカネのことばかり気にするようにな

 た

□人事評価が売上や利益に繋がっていない

□膨大な費用をかけた人事評価が社員の行動変革や業績向上につなが

 っていない

□人事評価の運用コストに見合う成果(成長や利益)が得られない

□会社の進むべき方向と、目標面接で設定される目標が噛み合ってい

 ない

□目標達成はしているのに会社が成長しない。どうなってるんだ。

□評価・フィードバックにかかる膨大な時間や人件費が、会社の生産

 性を下げている

□評価制度を整えれば人は育ち、悩みは減ると思ったが次々に予想も

 しなかった問題に直面し、さらに社員の不満を生んでいる

□管理職に「自分の評価を下げたくない」「部下に嫌われたくない」 

 「余計な仕事を増やしたくない」という心理が働いている。
□評価が数字だけになり社風に合わないことをする社員が増えている

□なぜ、社長がここまで言わなければならないのか?

3.人事評価の導入プロセス

3.1  ダメ人事評価は、早晩、崩壊する

 次のプロセスで作ったダメ人事評価制度は、早晩、崩壊します。これは、ダメ人事評価を作った、ダメコンサルタントの責任です。ダメコンサルタントは、人事評価制度のキモが全くわかっていません。
たとえ、テンプレートを用いて機械的に人事評価シートが作れたとしても、納得性が低く、運用方法が誤っていれば、人事評価制度は定着する前に崩壊してしまいます。

 
 人事評価シート完成(納得性確認が出来ていない)

   ↓

    人事評価運用マニュアル(評価制度を運用するためのマニュアル)

   ↓

 評価実施(部下は本人評価、上司は上司評価の手順を習っていない
      上司評価と本人評価が一致しない)

   ↓

 目標面接(上司評価と本人評価の不一致。この場合、上司評価を押   
      し付けるのに精一杯で、今後の目標設定は困難です)

   ↓

 現場指導(目標を設定していないので、現場指導をやっていない
      現場指導をやっていないので、評価ができない)

   ↓

 目標面接(上司評価と本人評価の不一致。社員の不満が爆発)

   ↓

 人事評価制度崩壊

 

 

3.2  シン人事評価の導入プロセス

 真の人事評価制度(以下、シン人事評価制度)の導入プロセスには、ダメ人事評価制度にはないものがあります。これを赤字で示しています。これらのプロセスが、人事評価をシン人事評価に仕上げます。
 

 人事評価シート完成(納得性確認

   ↓

 人事評価シートの妥当性確認(評価シートが使えるか否かの確認)

   ↓

    人事評価運用マニュアル(評価制度を運用するためのマニュアル)

   ↓

 教育訓練 → 本人評価の仕方(本人が自己評価できるようにする)

      上司評価の仕方(上司が部下評価できるようにする)

   ↓

​ 上司評価 (上司が部下評価を実施する)

   ↓
 評価決定会議(上司評価を決定する会議)

   ↓

 目標面接  (上司評価と本人評価の一致、今後、半年間の目標設定)

   ↓

 現場指導(半年間、評価と現場指導)

   ↓

 上司評価 (上司が部下評価を実施する)

   ↓
 評価決定会議(上司評価を決定する会議)

   ↓

 目標面接(上司評価と本人評価の一致、半年間の目標設定)

   ↓

 人事評価制度定着化

 

​社員の皆様が、「こんなシートでは評価されたくない」と思われたならば、その人事評価制度は、この時点で失敗です。「納得性確認」は、これを防ぐために必要です。納得性が得られになかったら、評価シートを作り直すことになります。

評価シートが出来上がったら、まず社長様に社員を評価して頂きます。この時点で、社長様が「このシートは使えない」「会社に適していない」と感じられたならば、その人事評価制度は、この時点で失敗です。作り直す必要があります。なぜならば、そのような評価制度は使われないからです。

評価の教育訓練も重要です。試しに、目の前で、部下に自己評価させてみてください。評価シートに従って自己評価できればOKです。出来なければ、自己評価ができるまで、教育訓練を続ける必要があります。

 

人事評価の最大のポイントは上司評価にあります。実をいうと、ほとんどの会社では、上司評価ができていません。「やってるよ」という方も多いと思いますが、上司は評価していないし、指導もしていません。

 

そして、それが目標面接で上司評価と部下評価が不一致となる理由となっています。まともな人事評価制度をつくり、まともに運用すれば、上司評価と部下評価は、必ず一致します。(理由は書くと長くなるので書きませんが、理由をお知りになりたい方は、当社までご連絡ください)。

評価決定会議は上司が数人(たとえば、社長、専務、部長、課長)で、一人の部下を評価して、公平な評価をしようとするものです。また、目標面接で「君は 1 点だ」と告げるとき、それが上司の独断ではなく、会社の総意であるということを示すために行うものです。

以上のプロセスを経て目標面接を行うと、上司評価と本人評価は、必ず、一致します。一致しなければ、その人事評価制度は、この時点で失敗です。「教育訓練」からやり直す必要があります。

上司評価と本人評価が一致しない場合、上司は上司目標を納得させることに精一杯になってしまい、今後半年間の目標設定が出来なくなってしまいます。上司評価と本人評価が一致すると、部下は、今後半年間の目標設定に関心をもてます。

ダメ人事評価とシン人事評価の最も大きな違いは、ここにあります。目標面接が終わったら、ここで設定した目標が達成されるように、次期の目標面接に向かって、半年間、評価と現場指導を続けます。

あなたの会社では、上司が、次期の目標面接に向かって、評価と指導を続けていますか? 人事評価が人材を育て、成果を上げるためには、評価と指導を続けることが必須の条件なのです。それが出来ていないならば、その人事評価は完全に失敗していることになります。

4.なぜ、人事評価は運用できないのか

4.1 管理者(評価者)が評価結果を部下に通知できていない

「君は3点だ」「君は4点だ」というのは、どんな管理者でも部下に通知できます。しかし、「君は1点だ」「君は2点だ」というのは伝えたがらないのです。部下が恨みに思うかもしれないし、部下との人間関係を壊すかもしれません。

そのため、本来は 1 点なのに 3 点と評価し、「君は 3 点だ」と伝えるのです。しかし、これは絶対にやってはいけません。なぜならば、部下を評価し、評価結果に基づいて、部下を指導するのが上司の仕事だからです。そして、

「1 点の能力の部下を、2 点の能力にする指導内容」
「2 点の能力の部下を、3 点の能力にする指導内容」
「3 点の能力の部下を、4 点の能力にする指導内容」
「4 点の能力の部下を、5 点の能力にする指導内容」

は、全部、指導内容が異なるのです。

もし、1 点の部下を 3 点と評価すると、「1 点の能力の部下に、4 点の能力を指導」することになります。それは出来ないことです。評価制度は、そのように出来ていません。このような管理者がいると、この段階で評価制度は完全に壊れてしまいます。

では、どうすればいいか。まず、「1点だ」「2点だ」と評価されても、納得できる評価である必要があります。わけのわからない評価シートで、「1点だ」「2点だ」と評価されるのは誰だって嫌だからです。

これを防ぐために、当社では、まず納得できる評価シートであることを確認するための評価シートの納得委確認と妥当性確認を行っております。

​そして、
管理者(評価者)が自信をもって、「君は1点だ」「君は2点だ」を伝えることができるように評価決定会議評価者訓練ロールプレイイングを行っております。

評価者訓練ロールプレイイングをやっているコンサルタント会社はありますが、評価シートの妥当性確認、評価決定会議の指導を行っているコンサルタント会社は、ほとんどありません。だから、多くの人事評価制度が失敗しているのです。

4.2 管理者(評価者)が評価していない

評価の仕方についての教育が問題なく終了したら、評価できる状態になったと言えます。そこで、人事評価を開始します。

 

評価には、本人評価と上司評価があります。この両者は必ず一致しなければなりません。これが一致しないならば、その人事評価制度は、その時点で「失敗」です。
 

なぜならば、納得できない上司の評価に部下は反発し、上司はなだめるのに精一杯になり、次期の目標を設定し、指導するなど、夢のまた夢になってしまうからです。


部下は「自分は一生懸命に頑張っている」「自分は4点だ」と思っていたとします。それを上司は2点と評価したとします。

 

こういうとき、部下は上司を信頼して、その評価を受け入れるでしょうか? こんな人事評価制度を作ったら、会社の良い雰囲気を壊すだけではないでしょうか?


では、上司が部下におもねって4点とすればよいのでしょうか? そうではありません。実力もあり、経験も豊富な上司が真剣に評価して2点なのですから、2点が正解のはずです。


しかし、この時点で2点だということが納得できなければ、実は、指導は始まりません。部下の指導ができ、部下の能力向上ができないならば、人事評価制度とは呼べません。

 

なぜなら、今が2点だから、来期は3点を目指すことになるのです。そして、上司は、部下が2点の能力から3点の能力に向上するために指導を行わねばならないのです。


本人評価と上司評価は別々の人間がやるのだから、一致するはずがないという方もおられると思います。「本人評価と上司評価が一致することなどあるわけがない!」という方がほとんどかもしれません。

 

しかし、それでは、人事評価制度は成り立ちません。実は、多くの人事評価制度が、この段階で失敗しています。


本人評価と上司評価は、まともな人事評価を行えば、必ず、一致します。一致しないのは、ダメコンサルタントがつくったダメ評価制度だからです。

 

当社がコンサルティングを行えば、このような事にはなりません。当社は、本人評価と上司評価が一致しないような「ニセ評価制度」は作っておりません。

4.3 管理者(評価者)は指導もしていない

実は管理者は評価していないだけではなく、部下に指導もしていません。「やっているよ」とおっしゃるかもしれません。

では、お尋ねしますが、今月が9月(評価月)だとして、先月(8月)の部下の上司評価は、何点でしたか、そして、その点数が上がるように何を指導しましたか?

覚えていない? 覚えていないならば仕方ないですね。では、先々月(7月)の部下の評価は、何点でしたか、そして、その点数を上げるために何を指導しましたか?

覚えていない? そうですか。では、6月、5月、4月の部下の評価は、何点でしたか、そして、その点数を上げるために何を指導しましたか?

そんな昔のことは覚えていない? では、部下を評価したとか指導したという証拠はありますか? 指導の記録で結構なんですが、ありませんか?

ない。そうですか。

上司(管理者)に、指導の結果を問いただすと、大体、上記のような結果になります。これでは、「指導している」とは言えないでしょう。

なぜこうなるのか? それは、上司(管理者)が人事評価の仕組みを習っていないからです。では、なぜ、上司(管理者)は人事評価の仕組みを習っていないのか?

それは、会社が教えていないからです。では、なぜ、会社が教えていないのか? それは、人事評価シートがダメ人事評価シートであるか、コンサルタントが、ダメ・コンサルだったからです。

​指導するから、人材は育つのです。ほおっておいて育つはずがありません。いまからでも、遅くはありません。ダメ評価シートをシン人事評価シートに作り替え、運用の方法を検討し直してください。さもなければ、人事評価は、絶対に機能しません。

5.シン人事評価の作り方
 
5.1 人事評価制度の構築

人事評価制度を作るとき、最低限決めることは次の3つです。

 ①職種・階層一覧表

 ②職種別階層別人事評価シート

 ③人事評価制度運用手続き(人事評価運用マニュアル)。

この3つを決めると、人事評価制度は運用できます。

5.2  評価シートの種類

 評価シートは、何種類ぐらいつくればよいでしょうか。もちろん、少ないほど、運用もメンテナンスも楽になります。会社の実情を踏まえてできるだけ「小さく」することが肝要です。

 

それを検討するときに用いるのが、図4.2.1 「職種・階層一覧表」です。職種・階層一覧表とは、社内に、どのような職種(事務、営業、製造など)と、どのような階層(一般職、監督職、管理職など)があるかを一覧表にまとめたもので、人事評価シートを構築し、運用する場合の出発点となります。

図5.2.1  職種・階層一覧表

 

いま、会社の職種が総務、経理、営業、土木、建築の5種類で、階層が、上図左のように9階層であるならば、

       職種(5)×  階層(9)= 45 種類

の人事評価シートが必要だということになります。

普通の中堅中小企業で45種類もの人事評価シートを作成し、運用し、維持(メンテナンス)出来るでしょうか? 無理です。できるわけがありません。

職種・階層一覧表右のように、3職種・3階層であれば、

  職種(3)×  階層(3)= 9 種類

​これなら、普通の中堅中小企業でも運用し、維持することができるでしょう。


つまり、この検討によって、人事評価シート作成の作業量が決定されます。人事評価シートをつくり、運用するときには、最初に、このことを検討しておくことが大切です。


ポイントは、会社の実態に合わせて作成するということです。とくに階層が問題です。中小企業の場合は 2階層(一般職、監督職)で十分な場合もありますし、会社によっては 1 階層(一般職)という場合もあります。階層を無理に増やさないことが大切です。

職員数600人規模の病院の看護部で9階層を望まれましたが、職務調査を行うと、課長も、主任も、一般職員も、仕事内容が同じでした。このときは、「仕事」の階層は、部長、課長、一般職の3階層としました。いたずらに「仕事」の階層を増やすと、運用・維持が難しくなります。

ここで「仕事」の階層と書きましたが、「制度」の階層は、病院のお望み通り 9 階層としました。お客様が 9 階層を望まれるのは何か理由があるはずです。その理由を解決する必要がありますので、この病院では 9 階層にしました。

 

このように、人事評価は、四角四面ではなく、柔軟に対応することが大切です。ダメ・コンサルタントは、このような柔軟性がありません。自社のマニュアルどおりに仕事を進めようとします。しかし、マニュアルには、実は、書いてない事の方が多いのです。

5.3 評価要素の選定

 

5.3.1 評価シートのフォーマット

人事評価シート(職種別・階層別人事評価シート)をつくるときには、通常、次のようなフォーマットを用います。フォーマットは2種類ありますが、以下ではおもに、様式(1)について説明していきます。

​​​

​図5.3.1 人事評価シートの様式(1)能力主義・成果主義​

 

 

 

​図5.3.1 人事評価シートの様式(2)BSC

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

したがって、人事評価シートをつくるためには、次の3つを決めなければなりません。

 ① 評価要素(定義、着眼点)

 ② 評価基準

 ③ ウェイト

 

「評価要素」とは「どの仕事を評価するか」ということです。その内容を示したものが評価要素の「定義」であり、「何を見て評価するか」を示したものが「着眼点」です。


「評価基準」とは、各評価要素が、どの程度できているかを示すもので、通常は1点~5点(s,a,b,c,d)で評価されます。


「ウェイト」とは、人事評価シートに書かれた評価項目の重要性を示すものです。人事評価シートに書かれた評価項目は、すべて重要なものですが、重要さの程度が異なることが普通です。その重要さを表すものがウェイトです。


この他に、必要に応じて、「人事評価結果フィードバック・シート」「人事評価訓練シート」を作成します。とくに、「人事評価結果フィードバック・シート」は重要ですが、ここでは説明を割愛させていただきます。

5.3.2 評価対象

人事評価シートの作成で、最も重要なものは、「評価対象」と「評価要素」の選定です。評価対象としては、期待成果、重要業務、知識技能、執務態度があります。

 ①実現して欲しい成果(期待成果)

 ②その成果を上げるための重要業務(重要業務)

 ③その重要業務を実施するために必要な知識・技能(知識・技能)

 ④その重要業務を遂行するために必要な勤務態度(「情意」とも呼

  ばれます)

 

期待成果が最終的な目標ですが、目標というのは、結果だけでなく、結果を達成する方法(重要業務、知識・技能、勤務態度)を含むものです。

 

成果主義人事評価であるバランスト・スコアカードも、結果だけでなく、結果を導くプロセスを評価する仕組みになっています。成果主義だからといって、結果の数値だけを見ているわけではなく、成果を上げるためのプロセスも評価しています。

 

5.3.3 評価要素の連鎖

評価要素の中で、最初に設定するものは「成果目標」です。これは、経営計画から降りてきます。


「成果目標」は職種によって異なります。いま何らかの「成果目標」が決まったとします。それを、簡単化のために、営業を例にとり「売上高」としておきます。


そうすると、次に、どのように顧客に働きかければ成果(売上高)が達成されるのかを検討して、成果目標を達成するための「重要業務」が選び出されます。それを、簡単化のために「訪問件数」と「受注確率」としておきます。


重要業務を達成するためには卓越した知識・技能が必要です。たとえば、「訪問件数」を増やすために「スケジューリング」と「顧客情報」という知識、「受注確率」を高めるために「ロールプレイイング」と「提案書」という技能訓練が必要だとされたとします。


最後に、「訪問件数」や「受注確率」を達成するために、どんな態度で臨めばよいかを検討します。訪問件数を達成するためには「粘り強さ」「積極性」、受注確率を高めるためには「明朗性」「緻密さ」が必要だと決定されたとします。


以上をとめると、図5.3.2のようになります。これが、人事評価シートの基本構造を表しています。

図5.3.2 評価項目の相互関係

この図では、矢印の左側が十分条件で右側が必要条件です。つまり、売上高を確保するには何が必要かという観点から検討したものです(左→右)。

 

本当に、これでよいかを検討するためには、矢印の右側が成立したとき、矢印の左側が成立するかどうか確認しなければなりません(左←右)。


いま、目標とする売上が上がっていなかったとします。そうすると、営業会議で「馬鹿者!」と叱るのが普通です。しかし、叱ったところで成果はあがりません。
 

人事評価では、目標売上があがっていなかったとき、訪問件数が不足していたのか、受注確率が低かったのかを見ることになります。

 

そして、受注確率が低いことが判明したならば、提案書の書き方がまずいのか、商談の仕方がまずいのかを検討します。

 

ここで、商談の仕方がまずいということがわかったならば、上司は、叱るよりも、ロールプレイイングにより商談が有効商談になるように指導することになります。


そうすれば、次月から、単に叱るよりも成果が上がるはずです。これが人事評価制度で成果があがる 1 つの理由なのです。


人事評価の要素というのは、このように達成できない真の原因に降りて行って、そこを指導できるように作らねばならないのです。

 

もし、これができなければ、人事評価の意味はありません。指導(教育)もできないし、成果もあげられないからです。

 

5.4 評価対象と評価要素の選定について

人事評価制度には、能力主義、成果主義、バランストスコアカード、コンピテンシー型など、様々な形式のものがあります。人材育成ができ、会社の成長・発展に資するものであれば、どの形式を用いられても結構です。ここでは、いくつかのものを例示的に説明しておきます。​

図5.4.1 評価対象と評価要素の選定方法

​読者の中には、「人事評価に、なぜ中期経営計画が入って来るのか」と疑問をお持ちになる方がおられるかもしれません。そういう方は、次の図をご覧ください。この図が、中期経営計画と人事評価の関係を表しています。

もともと、経営は 1 つなのです。中期経営計画のための経営とか人事評価のための経営とかはありません。

 

もし、「経営を行うためにマネジメントシステムをひとつ選択せよ」といわれたら、迷うことなく中期経営計画を選択し、PDCAを回します。人事評価は、その中のDを評価するためのpDcaを回すものです。

 

人事部の人々、人事コンサルタントは、プライドが高く、人事を特別なものという言い方をしますが、決してそうではありません。中期経営計画も、営業も、現場指導も、取引条件であるISOやSDGsも等しく重要なシステムなのです。

図5.4.2 中期経営計画と人事評価制度の関係

 

 

 

5.5 評価基準の作成

次に、評価基準をつくります。評価基準の作り方は、成果指標、重要業務、知識・技能、情意(執務態度)によって異なります。

いずれの場合も、評価基準の文言の「曖昧さをなくす」「再現性を高める(誰が評価しても同じ結果になる)」ための工夫が必要です。そのために、5W1H、頻度、範囲、手離れ、コストなどを使って、評価1、評価2、評価3、評価4、評価5の違いを明確にします。

5.5.1 成果指標

 

①成果の分布
評価結果は、社員が10人であれば、5点1人、4点2人、3点4人、2点2人、1点1人になるように作ります。

 

なぜならば、人の能力は次図のように正規分布しているので、仕事の成果も正規分布していると考えられているからです。

5点・4点が 1 人もいない評価シートは厳しすぎ、1点・2点が 1 人もいない評価シートは甘すぎの可能性があります。

図4.5.1 評価の分布

 

 

 

 

 

いま、会社で売上高が最高の人の売上が1000万円ならば1000万円が

5点です。

最低の人が200万円ならば、その人が1点です。

そうして、1000万円と200万の中間である600万円の人が3点、

600万円と200万円の中間である400万円の人が2点、

600万円と1000万円の中間である800万円の人が4点と大雑把に仮設定しておいて、5点1人、4点2人、3点4人、2点2人、1点1人になるように調整します。

 

② 成果の評価基準は現在の数値をもとにつくる
このとき、この数字は低すぎるという理由で、たとえば2000万円を

5点にしたらどうなるでしょうか?


1000万円より高い数字の人は誰もいませんから、2000万円を売り上げる方法を誰も教えることができません。ここが重要です。


いまの目標が低すぎるという理由で、目標だけを高くしても、成果は上がりません。もし、成果をあげようと思うならば、2000万円を売り上げられる仕事の仕組みを、まず作り、そのやり方を評価シートに組み込まねばならないのです。

3か月で売上高が倍増した卸売業があります。セールスマンに同行すると、セールストークが出来ないことがわかりました。そこで、営業方法をセールス型から展示会営業に切り替えて、展示会営業の方法を人事評価に組み込みました。これによって売上高が倍増したのです。このような例は、数限りなくあります。

人事評価制度が出来上がると、「出来ました」といって終わりにするダメ・コンサルタントがいます。社長様は、「評価制度をつくってくれ」とおっしゃったかもしれませんが、本当の依頼は「成果をあげてくれ」のはずです。したがって、コンサルタントの仕事は、成果を上げるまでは終わってはいないのです。​

 

5.5.2 重要業務

重要業務の評価基準は、たとえば、次のようにします。

 1点:やっていなかった

 2点:やったり、やらなかったりしていた

 3点:常に、やっていたが、やり方が十分ではなかった

 4点:常に、十分な内容でやっており、成果が高かった

 5点:成果が高く、より優れた方法を開発した

「これ簡単すぎない?」という方もおられると思います。簡単だから良いというわけではありません。1点、2点…5点の差が明確なものが良い基準です。


つまり、成果が上がらないのは、重要業務をやっていないからです。したがって、「やっていない」のは 1 点。常にやっていたら、一定の成果が上がるので3点です。

 

その間が2点です。それは、やったり、やらなかったりしているから

3 点ほどの成果はあがっていなかったということです。

 

4点・5点は、仕事が出来ることは当然で、成果や改善というレベルになります。大切なことは、業務遂行度の差異を明確に表すことです。
 

注意しなければならないのは、評価シートに書かれた手順を使わずに成果を上げている人が時々いるということです。

 

その手順は、評価シートに、いま示されているやり方よりも優れているかもしれません。その場合は、その優れたやり方を評価シートの中に取り込むようにします。

 

このことは、人事評価制度の改善につながるもので、非常に価値の高いものです。したがって、5点とします。

 

5.5.3  技能・知識、執務態度

基本的には、重要業務と同じです。表現の仕方が少し変わります。本稿では割愛いたします。

5.6 ウェイト

5.6.1  ウェイトとは

評価シートにおけるウェイト(比重)とは、各評価項目が最終的な評価結果に与える重要度の割合のことです。 

評価シートに抽出された業務は、すべて重要なものですが、すべての評価項目が等しに重要度ではなく、企業の経営方針や職種・役職に応じて「どの業務や能力をより重視するか」が異なります。


5.6.2 ウェイトの設定
①重要事項の明確化

 従業員に対して「今期は何を最優先すべきか」という優先順位を可 

 視化できます。
②公平性の担保

 成果が出やすい業務と、地道だが重要な業務のバランスを数値で調

 整し、納得感のある評価につなげます。
③役割に応じた最適化

  管理職には「チーム業績」、若手.には「プロセスや習得スキル」の  

 ウェイトを高くするなど、立場に合わせた評価が可能になります。 
④設定の具体例
 一般的には、合計が100%(または100点)になるように配分しま

 す。 
 営業職の例
 売上目標達成度:60%(最重要)
 新規開拓件数 :30%
 事務作業・日報:10%

 

 事務職の例
 業務の正確性  :40%
 効率化への提案 :30%

 チームへの貢献度:30%

 

5.6.3 ウェイトの働き
 最終的な評価点は「各項目の点数 × ウェイト」の合計で算出されま

 す。たとえば、ウェイトが50%の項目で満点を取れば、ウェイトが

 10%の項目で満点を取るよりも最終評価への影響が5倍大きくなり

 ます。

職種・階層一覧表.png
評価シートの構造.png
図2 評価項目の相互関係.png
図3 評価の分布.png
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評価対��象と評価要素の選定方法.png
中経と人事評価制度.png

 

6.昇進昇格制度

昇進昇格制度では、次の内容を整理して「昇進昇格規定」を作成します。就業規則と矛盾が生じないように調整しておく必要があります。

 

6.1 制度導入・改定の目的

単なるルールの変更ではなく、ポジティブなメッセージを添えて伝えます。

 ①年功序列から、成果と能力を公正に評価する仕組みへ移行しま

  す。

 ②若手でも早期に責任あるポストに挑戦できる環境を作ります。

 ③会社が期待する「活躍の定義」を明確にし、キャリア形成を支援

  します。


6.2 昇進と昇格の違い

昇進昇格制度は、従業員のモチベーション向上や人材育成、適材適所の配置を目的に設計される人事制度の根幹です。混同されがちですが、「昇進」は役職(肩書き)、「昇格」は等級(格付け)が上がることという明確な違いがあります。

  • 昇格:能力や役割のレベル(等級)が上がること。= 「実力の向上」

  • 昇進:課長、部長などのポスト(役職)に就くこと。= 「責任の範囲の拡大」

  • 昇格は昇格要件を満たせば誰でも昇格出来ます。昇進は「席」が空いてない場合は見送りとなります。

6.3 昇進・昇格の決定要件

一般的に以下の要件を総合的に判断して決定されます。 

 1.評価要件:直近2〜3年の人事評価で「B以上」など。

 2.滞留年数:現等級に最低◯年在籍(飛び級制度がある場合はそ

       れも明記)。

 3.保有資格・スキル:職務に必要な公的資格や社内検定の取得状

       況。

 4.上司の推薦:直属の上司による今後の活躍可能性の評価。 

 5.選考内容:推薦、筆記試験、小論文、役員面接、多面評価(360   度評価)など。

 6.時       期:年1回(◯月)など、スケジュールの明示。

 7.リベンジ:昇進が不合格だった場合の処置。

6. 4「給与・賞与」への反映

納得感を高めるために、お金の話もセットで行います。

 ①昇格に伴う「習熟給(基本給)」のアップ額。

 ②役職に就いた際の「役職手当」の支給額。


7.賃金制度

 

​​7.1 ダメ賃金制度

賃金制度については、当社は、当初、相当な苦労をしてきました。賃金制度の営業に行くと、「東京のコンサルさんに賃金制度を依頼したら、現行よりも30%ほど高い賃金制度が出来て、使い物にならなかった。​だから、賃金制度はもういい。第一、東京のコンサルさんに出来なかったものが、熊本のコンサルタントに出来るはずがない」と仰るのです。

このときまで、世の中のコンサルタントのレベルがこれほど酷いとは思いませんでした。彼らは、マニュアル通りに賃金制度をつくると、30%高くなるということを確認もしていなかったのです。

それから30年経ちますが、未だに、同じようなことが繰り返されています。賃金制度を発注するときには、地方でも、まともな賃金制度が出来るか確認しておくことが必要です。

7.2 職能給制度

当社では、もう何百社もの賃金制度を構築してきました。会社の都合や規模や業種によって賃金制度の内容は異なります。

 

しかし、どの会社にも共通する課題は、「総賃金原始(賃金総額)をいくらにするか」ということでした。これについては、ラッカープラン(またはスキャロンプラン)を参考にしてください。

 

たとえば、ラッカープランに従うと、総賃金原始は、粗利益(付加価値)× 労働分配率(40% ± 2%)になります。なぜならば、総賃金原始が、この許容範囲内にない会社は、全て50年以内に消滅しているということが調査によってわかっているからです(ただし、40% ± 2%という数値は時代によって変動する)。

 

このラッカープランを用いると、昇給総額も簡単に決定できます。その昇給総額を社員にどのように分配するかを決めるものが人事評価制度なのです。

 

その決定は、誰かの恣意によって決めるものではなく、ルールによって機械的に決められることが大切です。それが「公平な賃金制度」と呼ばれています。

7.3賃金水準

賃金水準の決定には、過去、多大な問題がありました。賃金制度策定を「東京のコンサルタント」に依頼したら、現行よりも30%も高い賃金になって使い物にならなかった」というのは、30年も前から、いまに続いています。


理由は明らかです。その理由とは、職能給制度の開発者である楠田丘氏が、「賃金制度は標準生計費をもとにして構築する」としているからです。これは大都市圏や支店経済の都市には当てはまっても、その他の地方では、必ずしも当てはまりません。


たとえば、熊本県では標準生計費は下図のようになっています。熊本県男子の平均賃金は、標準生計費に届かず、48歳で8万円ほど低くなっています。

 

これでは標準的な生活が出来ないので、普通は配偶者がパートで8万円稼いでおられます。したがって、標準生計費をもとに賃金制度を策定すると、現高賃金の30%増しになってしまうのです。

図7.3.1 標準生計費と熊本県男子平均賃金

では、どうすればよいか? それは地方の状況を把握することができるコンサルタントを使うしかありません。決して、東京のコンサルタントさんが地方の状況を把握できないわけではありません。


当たり前のことですが、社員の賃金を決めるわけですから、それだけの責任感がなければなりません。いくら、楠田丘氏のマニュアルが優れているからといって、標準生計費の水準も調べずに賃金制度を構築するのは無責任だということです。
 

しかし、地方のコンサルタントさんが「いいか」というとそうでもありません。地方にいても地方の状況をつかめないコンサルタントさんも多々おります。

 

困ったことに、どこかで仕入れてきた年齢給表と職能給表をコピーして、あちこちの企業に売りさばいてている中小企業診断士さんがいました。

7.4 職能給型賃金制度

以下の図は、当社で作成した700人規模の会社の職能給型賃金制度です。賃金制度策定の手順は、

 ①人事処遇診断

 ②現高賃金の分析

 ③年齢給の構築

 ④サラリースケール

 ⑤段階号俸表

 ⑥モデル賃金表

 ⑦適合性診断

 ⑧移行検討表

 ⑨昇給計算

ですが、このプロセスでは、数十回(場合によっては百数十回)のシュミレーションが必要です。コンピュータプログラミングを用いずに、Excelを用いて、このプロセスを行うと、賃金制度を策定するのに半年~1年の時間がかかります。


当社では、コンピュータプログラムを使っていますので、1000人規模の会社の職能給システムならば、3日で完成させることができます。

​ 

 

 

 

 

 

 

 

 

7.5 成果主義賃金制度(ブロード・バンド型賃金制度)

これまでは職能給が賃金制度の主流をなしてきました。しかし、これは日本だけの話で外国では、職種給や職務給が大勢を占めています。


日本企業の海外進出や外国人労働者の増加によって、賃金制度は、いま世界で最も広く用いられているバンド型賃金制度、それを日本流にアレンジした、ブロードバンド型賃金制度が用いられるようになりました。

 

職能給と比較すると、構築は超簡単です。ここでは、ここではブロードバンド賃金制度の概要のみを記しておきます。

1) バンド型賃金制度の定義

 ①社内の職務に応じて形成される複数のバンド(賃金幅)からなる構 造をもつ。

 ②各バンドは、中央値から、均等な比率の位置に、最大値と最小値 

  をもつ。

 ③個人の賃金は、最大値と最小値の範囲内で変動する。

2) バンド型賃金制度を導入する理由

 ①職能給の能力評価では、真の公平は実現できない

 ②定期昇給を廃止して、評価により適正な格差をつけたい

 ③職能給よりも、会社の競争力を高める制度に変更したい

3) 日本型賃金制度とバンド型賃金制度の比較

 日本型賃金制度(職能給など)バンド型賃金制度

 ・年功序列を「ある程度」容認している
 ・毎年少しずつ定期昇給がある
 ・評価による大きな格差がない
 ・減給はほとんどない
 ・集団主義で、意欲を起こすことを軽視・年功序列はほとんどゼロ
 ・昇給は会社業績に応じて実施
 ・評価により大きな格差がつく
 ・減給も一定のルールで実施
 ・意欲を起こすことを重視

4) ブロード・バンド型賃金制度の運用方法

 ①バンドとレンジ位置で賃金を決定する。

 ②昇給は人事評価と現在位置するレンジ位置によって決定される。

 ③昇給だけでなく、減給(そして降格)も定められている。

図6 標準生計費と熊本県男子平均賃金.png
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図6.2.1 職能給による賃金制度

図8 ブロードバンド型賃金制度.png

図6.2.2 ブロードバンド型賃金制度

8. 人事評価運用マニュアル

8.1 人事評価運用マニュアルの目的

人事評価運用マニュアルの「目的」は、人事評価を通じて、「社員一人ひとりの貢献を正しく認め、共に成長するために、この制度を運用方法を規定することです。そのために、人事評価の「ルールを説明し、評価のバラつきを抑え、社員の納得感と成長を引き出す方法を示すことにあります。主に以下の4つの視点で記載するのが一般的です。
 

1. 評価基準の統一(公平性の担保)

 評価者(上司)によって「甘い・厳しい」といった個人の主観によ 

 るバラつきを防ぎます。

  • 全社共通の「物差し」を定義し、誰が評価しても同じ結果になる状態を目指します。

2. 評価プロセスの透明化(納得感の向上)

「なぜこの評価になったのか」という根拠を明確にします。

  • 評価の手順やフィードバックの方法を公開することで、ブラックボックス化を防ぎ、社員が結果を受け入れやすくします。

3. 人材育成と行動指針の浸透(成長の促進)

 評価を「給与を決めるためだけの道具」にせず、育成のツールとし

 て位置づけます。

  • 会社が社員に期待する行動(バリュー)や成果を明示し、次期に何をすべきかという「成長の道筋」を示します。

4. 処遇(給与・昇進)への適正な反映

 頑張った人が正当に報われる仕組みを維持します。

  • 評価結果を昇給・賞与・昇格にどう結びつけるかのルールを明確にし、モチベーションの維持・向上につなげます。

 

人事評価運用マニュアルの具体的な中身(本文に記載すべき詳細内容)を、実務でそのまま使える構成で解説します。この構成は、評価者(管理職)が迷わずに運用でき、被評価者(従業員)にとっても公平性が担保される内容を想定しています。

1. はじめに(制度の目的と基本方針)

  • 人事評価制度の目的: 会社が何を重視し、評価を通じてどう成長してほしいかの明示

  • 評価の4原則: 公平・公正、透明、客観、納得の担保

  • 評価対象者・評価者の定義: 誰が誰を評価するかの区分(一次・二次評価者など) 

2. 評価基準と項目の解説

  • 3つの評価軸:

    • 成果評価(業績評価): 目標達成度、KPIの達成状況

    • 能力評価: 職務遂行に必要なスキル、知識、行動

    • 情意評価(態度・行動): 規律性、協調性、責任感、積極性

  • 5段階評価の定義: 評価ランクごとの具体的な状態基準 

3. 年間の運用スケジュール(評価フロー)

  • 期初: 目標設定面談、個人目標の決定

  • 期中: 進捗管理、中間面談でのフィードバック

  • 期末: 自己評価の実施、一次・二次評価の実施、調整

  • 目標面接: 評価結果の通知と次期に向けた面談 

4. 目標設定のガイドライン

  • 目標設定のポイント: 具体性、測定可能性など

  • 目標設定時のNG表現: 「頑張る」「検討する」などの曖昧な言葉の排除

  • 難易度の設定: 職位に応じた目標レベルの調整 

5. 評価実施とエラー防止

  • 評価者エラーの注意点: ハロー効果、中心化傾向、寛大化傾向など

  • 事実に基づく評価: 行動記録や具体的数値の活用 

6. 目標面接(面談)の進め方

  • 面談の構成: アイスブレイク、自己評価の確認、評価結果の伝達、動機付け

  • 伝え方のコツ: 課題とポジティブな点をバランスよく伝える 

7. 評価結果の活用と処遇連携 

  • 給与・賞与・昇進との連動: 評価ランクがどう待遇に反映されるか

  • 人材育成

9.人事評価制度の運用開始
以上で人事評価制度が完成しましたので、以下の手順で、人事評価制度の運用を開始してください。

 

人事評価制度の運用開始を成功させるためには、単に「仕組み」を作るだけでなく、社員への周知から本格運用までのスムーズな移行と、評価者への徹底した教育が不可欠です。 

 

ここでは、運用開始に向けた主要なステップと成功のポイントを整理しました。 

1. 運用開始までの標準的な流れ

制度の設計が完了したら、以下の手順で運用をスタートさせます。

  • 周知・説明会の実施: 運用開始の約1ヶ月前に、全社員向けの説明会を開催するのが理想的です。制度の目的、評価基準、給与への反映方法などを透明性を持って伝えます。

  • 仮評価運用: 本格運用の前に、過去のデータや特定の部署でシミュレーションを行い、評価の偏りや不具合がないか調整します。

  • 評価者の訓練: 評価を行う管理職に対し、評価エラーを防ぐための研修(評価者訓練)を実施し、スキルの平準化を図ります。

  • 本格運用の開始: 目標設定(期首)→ 評価実施(期末)→ 目標面接のサイクルを回し始めます。 

2. 運用を定着させるための3要素

形骸化を防ぎ、社員の納得感を得るために以下の3点を重視してください。

  • 公平性: 役職や職種に応じた適切な項目で、客観的に評価されること。

  • 透明性: 評価基準が事前に開示され、なぜその評価になったかの根拠が示されること。

  • 納得性: 定期的な面談を通じて、評価結果に本人が合意し、次の成長につなげられること。 

3. 注意すべき法的・事務的事項

  • 就業規則の改定: 従業員が10名以上の事業場で、評価が給与や昇進に影響する場合は、人事評価規程を就業規則に盛り込み、労働基準監督署へ届け出る義務が生じます。

  • 期間の設定: 年度(4月〜翌3月)に合わせるのが一般的ですが、企業の決算期や繁忙期を考慮して設定します。 

4. 導入後のメンテナンス

運用開始はゴールではなくスタートです。運用中に発生した「評価が甘すぎる/厳しすぎる」「項目が現場の実態に合わない」といった課題を吸い上げ、定期的に制度を微調整することが、長期的な制度の成功につながります。 

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